エネルギー環境教育支援プログラム
青森県 南部町立名久井小学校
火力・水力・原子力・太陽光・・・
子ども時代から考えてほしい、未来の環境とエネルギー
2011年3月4日(金)、青森県三戸郡南部町立名久井小学校で小学校の先生方を中心とした教育関係者を対象に、DVD教材「ようこそ!エネルギー図書館へ」を使ったセミナーが行われました。この教材を使うことで、理科が得意でない先生にも手軽に「エネルギー環境教育」を行ってもらうのがねらいです。講師は、同DVDの監修者でもある、筑波大学附属小学校教官の鷲見辰美先生です。

子どもたちに、実生活に根ざしたエネルギー環境教育の場を―――。
同小は以前から、電気エネルギーを利用したもの作り、ソーラーカーの製作、子ども環境サミットへの参加など、エネルギー環境学習に積極的に取り組んでいることで知られています。
「今日は、子どもになった気持ちで授業を受けてみてください。では、理科がきらいな人!」と鷲見先生が語りかけると、女性教諭を中心に、多くの手が挙がりました。

「理科ってなぜ抵抗があるのでしょう? 今日の授業で理科の小難しいイメージを払拭してほしいと思います」
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DVD教材の監修者である、筑波大学附属小学校の鷲見先生

豆電球とモーター、どっちが長持ちする?

「豆電球とモーター、同じ電気でどちらが長持ちすると思いますか」
鷲見先生が黒板に書いた問いかけに、笑いながら頭をひねる参加者のみなさん。「こっち」と思う方に挙手していただくと、結果はほぼ半々。「私が担当しているクラスの子どもたちの予想も同じく半々です。さっそく実験で確かめてみましょう」

参加者は班ごとに手回し発電機を回して、豆電球の点灯およびモーターの回転を確かめます。「発電機は、回転の速度で電圧が変わります。豆電球、モーター、それぞれ同じ電気量で試してみるなど、授業では工夫が必要です」

今回は発電機を30回転、50回転させ、それぞれ豆電球をどれぐらいの時間点灯できるのか予想し、ワークシートに記入。それから実際に実験し、結果とわかったことをそれぞれ記入します。

ここでDVD教材『ようこそ!エネルギー図書館へ』から「第2章 身近なエネルギー『電気』」の映像をモニターで視聴。この教材のねらいは、発電量の多くを占める火力、水力、原子力の発電の仕組みが、手回し発電機と同じ原理であることに気づかせること。DVDを視聴しながら、それぞれわかったことをワークシートに記入します。
img 子どもたちの気持ちになって実験をする先生方

エネルギーのベストミックスとは?
「子どもたちには、現実を教えなければなりません」と語る、鷲見先生。「現在、主力となっているエネルギーはそれぞれ課題をもっています。エネルギーのベストミックスという言葉がありますが、何か新しいエネルギーが開発されるまでは、現状のエネルギーの力を結集して、何とかバトンをつないでいく必要があります。だから子どもたちには、今のうちに考えさせておかなければなりません。子どものうちに考えておくことが、未来の環境をつくることにつながると思います」
img 実験の方法を説明する鷲見先生

セミナーを終えて、「最初はあまり関心がなかったが、実験をしたり、DVDを見るうちに、理科への抵抗が薄れた」「少しだが、理科をおもしろいと感じるようになってきた」「他の先生にもこの教材を紹介する」と語る参加者たち。同小の工藤隆継校長は「発電所の種類や仕組み、問題点など、子どもたちには一方向からでなく、さまざまな情報や選択肢を与えるなかで、今後のエネルギー問題について考える機会をつくっていきたい」と話していました。


指導案
小学校高学年向けエネルギー環境教育(理科)
ねらい

・エネルギーとしての「電気」を理解し、発電のしくみを知る
・環境にやさしいエネルギー利用を考えるきっかけを作る
・日頃何気なく使っている電気についての興味を高める


 
■教師のはたらきかけ
□児童の学習活動
指導・留意点 デモ授業の様子
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■モーターの回転と豆電球の点灯、 どちらが同じ電気で長持ちするのだろうか。

□これまでの体験から、どちらが 長持ちするか予想する。

□手回し発電機と豆電球、モーターをつないで手応えを確かめ、再度予想する。

 

・これまで使ってきたモーターと豆電球を使うことで、これまでの体験をもとに考えることができるようにする。
・実際に手回し発電機につないで、手応えを感じることで、電気の流れを実感できるようにする。
・LEDを用意することができれば、同じようにつないで手回し発電機を回してみると、違いがはっきりする。

 

□手回し発電機を50回回して、コンデンサーにためた電気で、豆電球とモーターのどちらが長くもつか、実験する。
・ほとんど同じだ。それにしても、これだけがんばってためても、あっという間に消えてしまうね。

 

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■電気を作るのは大変だね。
みんなが使っているたくさんの電気は、どうやって作られているのだろう。

・火力・水力・原子力・風力・太陽光・地熱発電等があるが、発電量が一番多い火力発電について考えてみる。

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□火力発電の仕組みを予想する。

 

 
 

□ビデオを見ながら、わかったことをワークシートに記入する。
・手回し発電機と同じ原理で、火力発電や原子力発電が行われていることに驚いた。

VTR【理科編】第二章
身近なエネルギー「電気」

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・2時間続きの授業で行えば、一つ一つの活動をじっくり行うことができる。


評価
電気を発生させたり、電気を蓄えたりすることを理解することができたか。

ダウンロード


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エネルギー環境教育に熱心に取り組んでいる工藤隆継校長先生 セミナーでは、名久井小学校の久保先生による「エネルギー環境学習・名久井プラン」の発表も行われました。

セミナー参加者の感想
DVDの作品がすぐ使えるすぐれものでした。多くの学校ですぐ使えると思います。
本校もほしいです。
手回し発電機を使った実際の体感、体験と視聴覚教材の活用と、ほどよいバランスの授業だったと思います。
エネルギー教育に取り組んでいる学校はとても少ないので、今回のような研究会はとても有意義です。(小学校校長男性)

映像の中の発電されている場面は、理科の発電の場面で使いやすいと感じておりました。
理科を主としてやっているためか、少し物足りないと感じた部分がありました。発電機(モーター、タービン)の作り、構造がもう少し詳しく知ることができる場面がほしいと思いました。
水力も火力も原子力でも、みんな同じくモーターの逆の原理を使っているというのは、分かりやすい反面、面白味に欠ける印象を受けました。(だからといって今、それに答える建設的な考えは浮かばないのですが…)
「同じ」だけれども「ちがう」ところ、また、ちがうけれども同じく比較できるよ
うな解説を入れた方がよい面もあるのでは?とくに、理科だけでなく、エネルギー環境
教育としてみるなら、それぞれの発電(一定量)に必要なエネルギーのCO2換算など
あれば、(話し合いでもありましたが、それぞれの発電の限界のことなど)良かったと思
います。
子どもたちの将来のことも考えると、ベストミックスの有用性、必要だけでなく、研究
中の発電方法など(波力や生物系)なども紹介できれば、より楽しい学習教材になるの
ではないかと思います。
(小学校教諭男性)

今回見たビデオは、5年の「電気の働き」の発展として使った方がよいのでは?
(電磁石が出てきているので)あとは、6年の「電気の利用」の導入で使えるか?
理科の専科なので、女性の先生の「理科苦手感」はヒシヒシと感じている。
①準備が大変(実験用具一式を何セットも準備すると考えるだけでいや)
②時間がない(キットに頼ってしまう)
③物のありかが分からない(何がどこにあるのか)
④楽しさを知らない(けっこう楽しいのに気づかない)
と、こんなところが解消できればと考えている。
鷲見先生の授業について、着眼点のすばらしさに驚かされる。
(小学校教諭男性)

教材DVDで扱っている機械、器具等、家電も含めて新しいものを使っているので、子どもにとって興味深く見られて良かったと思う。
実際のところ、原子力アレルギーを感じる人は多いと思う。安全性を強く求めるからだが、エネルギー自給率の低い日本でどのような選択ができるのか、客観的な資料を示して考えさせるのであれば、有効な教材だと思う。
模擬授業は、新しい教材に身をもってふれるという点で、大いに役立った。
(小学校教諭)

実験が楽しかった。小学生の子どもになった気分で手回し発電機を回した。
今まで理科は難しいと思い込んでいたが、<実証、再現、客観>ということを教えていただいたら、何か好きになりそうな気がしてきた。感謝!!
(無記名)

理科の授業はあまり得意ではなかったが、今日のような視覚的な教材や、体験をともなう実験をすることによって、楽しく取り組めました。
低学年を多く担任することが多い教師にとっては、低学年向けの教材もぜひ開発してほしいと思いました。
(無記名)

理科の授業の中で、様々な映像を用いることにより、視覚的に捉えることができ、子どもたちの理解の助けとなる。とても分かりやすい構成になっていた。
「一日に使う電気を、手回し発電機100台で何回まわせばよいか?」という問いがあっ
たが、あまりにも予想がつけにくい気がした。子どもたちの目線で、例えば「30分間TVゲームをやるには?」などにすると、答えを聞いたときに「えー?!」とか「そんなに大変なんだ」という実感をともなった理解につながるのではないか。
(無記名)

鷲見先生の教材の提示や、授業技術などが大変参考になりました。新指導要領になってからの「手回し発電」も、実際に操作することができたので勉強になりました。
エネルギー環境学習<名久井プラン>について参考にしていきたいと思いました。
放送とエネルギー環境教育について、全国の情報や資料等、ありがとうございました。
(小学校教諭)

鷲見先生の問題が面白かったです。シンプルな問題ながら、深く考えさせられました。
「子どもたちに未来をたくす」という先生の言葉がとても印象に残りました。
久保先生の発表を聞いて、名久井小の実践のすばらしさに、ただただ驚かされました。
自分の校内の電気の無駄づかいは気になっていて、環境教育に生かせないかと思っていたので、CO2排出量に換算するということは、とても参考になりました。
(小学校教諭男性)

1日の電気量については少し分かりづらかったので、例えば「レンジを1分使うと」「テ
レビを30分見るには」など、子どもの生活にもう少し身近なところから、手回し発電機と結びつけてみてはどうかと思った。(100台ではなく1台の方が分かりやすい)
(小学校教諭女性)

環境とエネルギーは、同一進行でやらなければいけない教育で未来を担う子どもたちに必要で、考えさせられるセミナーだった。モーターと豆電球からの導入は、思考力と理由づけの点からも、おもしろそうでやってみたいと思った。
環境とエネルギーは、学校や子どもたちだけでは解決しないので、家庭、地域をどう巻き込んでいくかが鍵となっていくのでは?
(無記名)

授業の中にこの映像教材を取り入れることで、より分かりやすくなると思いました。
電気の作り方について、よく分かりました。自分たちの生活に関係するクイズもあったりして楽しめました。家で使う電気1日分を1日で作れるんだ…あまり大変でない?と思ってしまいました。低学年用もあればうれしいです。(無記名)

LEDは節電できると分かってはいたが、ふつうの豆電球と比べてちがうことに驚いた。
1日の家庭で使用する電気を作るのに、今、目の前にある発電機100個×24時間と
いう映像がとても興味深かった。(無記名)

鷲見先生の導入法は、初めての体験であったので、とても参考になった。
思考させることの大切さを改めて感じた授業であった。ぜひ取り入れたいと思う。
本校のエネルギー環境教育が先進的であるということに驚きを感じるとともに、日本の将来を担う子どもたちの育成に真剣に取り組まなければと感じた。地域にアピールできる取り組みにしていきたい。
(小学校教諭)

 


モデル授業案
 理科(2011年)
 理科(2010年)
 社会(2010年)
 総合(2010年)